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2015.06.29
カキガラ使用について-1

ミネラルプラス3袋

pH低下を防ぐためにろ過槽などにカキガラなどを入れる人を多く見ます。
何故池のpHが下がっていくのでしょうか?

根本的な原因はエサです。
エサから出るたんぱく質が、バクテリアなどによって分解されて最終的に窒素分
(硝酸塩)になりますし 有機酸(硝酸、塩酸、硫酸など)が、水に溶け込みpHが
酸性に傾いていきます。
この窒素分が池に溜まれば溜まるほどpHは下がっていきます。

水換えをするのはpH低下を防ぎpH維持のために行います。
差し水だけではいけません。
必ず排水(窒素分濃度を減らす)をしなければなりません。
ただし水を換える量は、あくまでも三分の一に留めなくてはなりません。
その理由は大幅な水質急変により鯉が病気になる危険性があるからです。

参考までに簡単に説明しておきますが、有機物が過剰に溶け込むと水中の溶存酸素が
少なくなります。
要するに酸素が溶け込みにくい水になります。
有機物が多量にある水が、ろ過槽に流れ込むとバクテリアが一斉に活動をはじめ多量
の酸素を消費始めます。
しかしその後溶存酸素量が減少してバクテリアの活動が鈍り水質悪化におちいり
易くなります。

水面に白い泡(主にたんぱく質)が、出たりするのは「バクテリアが負けている」
からでそれを防ぐためにも良質なろ過材と高品質なバクテリアが必要で更に大事な
事は、バクテリアを活性化(元気にする)するためにもろ過槽にはエアーレーションが
とても大事です。

少し脱線しましたので本来の議題の説明に戻ります。
大幅なpH低下を招く泉水池においては、当然有機物(エサ、エサの残り、糞など)が
多い。
いわゆる酸が大量に発生します。
その酸を中和するためにカキガラが反応して溶け出していきます。
カキガラが非常に早く溶ける池においては有機物がそれだけ多いという事です。

その有機物が多い池においては、カキガラが酸を中和してリン酸カルシウム、
硝酸カルシウムなどになりろ過槽などに沈殿していきます。
その為にろ過材などに沈殿するので目詰まりを起こしバクテリアの住みかが無くなって
しまうのです。
これは沈殿物により濾過材表面積が小さくなるのです。
また生体に関しても良くないことがあります。

水の中にカルシウムが溶けるという事は、総硬度(GH)が上昇してしまいます。
ある養魚場さんで実際にGH20°になっていた事がありました。
私は多くの魚にとってGHの数値は、3~7程度が最適と思いますからこの20°という
数値は明らかに異常な数値でした。
またpHも6.2という低い数値しか示していませんでした。

これなども泉水池において大量の有機物が蓄積された結果で、その有機物が
分解されpHが下がるのをカキガラが溶解し押さえると言うことです。
しかしpHだけを見れば良いように見えますが、その代償でGHが大きく上昇すること
は良いことでしょうか?

さてもう少し詳しく説明していきます。
「カキガラは淡水に使用することは注意が必要です。」という題目で進めます。

その理由は、カキガラは炭酸カルシウムである。
炭酸カルシウムは、酸により溶け出して炭酸ガスや炭酸イオン、炭酸水素イオンと
カルシウムイオンになります。

炭酸イオンや炭酸水素イオンがpHを中和します。
しかし、カルシウムイオンと水中に溶け出している硝酸、リン酸などと結合して
濾過槽などに沈殿する。
沈殿した固まりの中が詰まってくると嫌気性になり脱窒が起こり亜硝酸塩が出てくる。

もし硝化バクテリアが、充分に活性していないと亜硝酸塩濃度が上昇して生体に害を
あたえます。
または、炭素化合物はメタンなどの有毒ガスとして水中に溶解し、生体に大きな
影響を与えます。

硝酸塩、リン酸塩、有機酸濃度上昇によりpHが低下する。
(かき殻の中和作用が低下すれば急激にpHが短時間で低下。)

中和作用が低下すればpHが低下し、水中の亜硝酸塩、硝酸塩、リン酸塩濃度が
上昇し水質悪化により生体の体力が低下し、病気の多発、エサ食いが悪くなり
最終的に魚は死滅する。
(pHの低下にともない、亜硝酸など有害物質が水中に放出され生体に思わぬ害が
及ぶ)

pHの低下を防ぐためにカキガラを入れてやれば確かにpHだけを見れば見かけは良い。
しかし、根本的に有機物の蓄積(リン酸、硝酸塩)によりpHが低下しているので
あるからこれらを池の外に出してやらねば問題解決にならない。
かき殻でpHを維持する方法は上記のような弊害を伴います。
適度に使用することは良いですがかき殻にpHの維持をまかせることは良くないの
ではないでしょうか?

沈殿した固まりの段階であればなんら問題は無いが、アルカリ度(pHの低下を防ぐ
働きの強さ)が低下すれば 一度溶け出し始めると水質環境悪化は誰も止める事は
出来なくなります。
(思わぬ時に思わぬ弊害で瞬時にして池全体が変異しることもあります)

最後に補足説明になりますが、海水魚養殖などの分野でカキガラが使用されて
いますが、元々天然海水においては
硬度は測定不能な数値位に非常に高いので全然問題ありません。
ただし淡水魚養殖に使用すると上記のように様々な弊害が出てきます。

English Summary
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