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2015.08.03
浸透圧について

浸透圧調整

「何故鯉の調子が悪い時に塩を使用するのか?」について説明していきます。

簡単に言えば「鯉は絶えず塩分調節をして体力を消耗しているのです。」
「塩分が少しある体液を持つ鯉が淡水の中で生きていくためには24時間
浸透圧調整をしなければなりません。
そのためかなりの体力を消耗しています。
それを和らげるために鯉の調子の悪い時に塩を投与して鯉の浸透圧調整に関わる
体力を軽減させる意味があったのです。」
この答えだけでは何のことを言っているのか分からないのでもう少し詳しく説明
していきます。

皆さん小学校時代に「ナメクジに塩をかけると、死んでしまう」こんなことを
勉強した記憶があると思います。
なぜ死んでしまうのでしょうか・・・。
これには浸透圧が関係しています。

ナメクジに塩をかけると、体の周りに塩が付着します。
ナメクジからすると自分の体内よりも高張液(濃い溶液)に包まれた形になります。
そうすると、浸透圧の関係から低張液(濃度の薄い)ナメクジの体内から高張液
(濃度の濃い)塩へ水分は流れていきます。
やがて、ナメクジは体内の水分が塩によって奪われ細胞が動かなくなってしまい
最後には死んでしまいます。

淡水魚の場合
鯉の体液は池の水より塩分濃度が濃いいのです。
浸透現象は濃度が薄いほうから濃い方へですから、この場合・・・・・
水がドンドン鯉の体に染み込んでくるんですねえ。
浸透現象によって体に染み込んできた水分をどう処理するんでしょうか?

まずブヨブヨにならないために淡水魚は一切お水を飲みません。
体に染み込んできた水分をどんどん尿として排出するんです。
淡水魚の腎機能はこの機能に特化されています。
だから、すごく薄い尿を大量に体外に排出する構造になっているんですねえ。
アンモニアなどの排泄物はエラから体外に排出します。
ですので冬場餌をやらない季節でもアンモニアは池に排泄されています。

ちなみに淡水魚が海水に入ると体中の体液が海水中に吸い取られ、水中にいながら
体が干からびてしまうっていうようななんとも不思議なことになってしまいます。

もうひとつ余談ですが・・・・
白点などの寄生虫系の病気のときに塩を入れますがあれは浸透圧を利用しています。
魚は耐えれるけど、寄生虫は浸透圧調整出来ずにやられてしまいます。
このように鯉は絶えず浸透圧調整をしながら生きています。
例えが悪いですが人間で言えば24時間歩き続けている感じですかね?
塩を使用する事は一時的に「浸透圧調整をしなくても良い状態を作る」って事です。
これを人間で例えたら病気の際にベットで横になるだけで回復するのと同じような事
です。

ちなみに自然界の河川にいる淡水魚は調子が悪くなると塩分を求めて下流の
河口近く(汽水)に移動すると言われています。
浸透圧調整に要するエネルギーは大変な物なんでしょう!

 

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